Re: 対応分析のプロット図に軸について (HIGUCHI Koichi) KH Coder 旧掲示板
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  [No.1926] Re: 対応分析のプロット図に軸について 投稿者:HIGUCHI Koichi  投稿日:2015/01/07(Wed) 22:10:23
Re: 対応分析のプロット図に軸について (画像サイズ: 800×600 104kB)

こんにちは、樋口です。書き込みありがとうございます。

また、質問の仕方についても、ご配慮いただき感謝申し上げます。格段にお答
えしやすくなりました。(理解せずに質問することはあまり問題ではありませ
ん。ただ、どのように理解を試みて、どこまで理解できているかを、できるだ
け詳しくお書きいただきたいのです)

> ・知りたかった点
> 参照した書籍には、(2)の表示について
> 「この布置を対象解と呼ぶ。ただし、この工夫は、布置を『見やすく』はす
> るが、解の表示としてはふさわしくないとする議論もある」
> とだけ書いてありました。
> ※Rのbiplotの関数を使用した際の解説
>
> この「ふさわしくない」とする理由(議論)を探しておりました。

■誤解を誘いかねない点

例によってどんな「議論」のことか確信を持てませんが、ここは大胆に(無謀
に?)樋口の考えを書こうと思います。

先の投稿(No.1923)で示した(1)〜(3)のすべてに当てはまることですが、語
と変数(または見出し)との距離が「近い」「遠い」と解釈することは数学的
には正しくありません。語と語、変数と変数なら「近い」「遠い」と言える/
言いやすいのですが、語と変数はダメです。語と変数とは、厳密には、同じ尺
度上にあるとは言えないためです。したがって、布置された場所が近いかどう
かではなく、原点からの方向や距離にもとづいて解釈するのが正しい方法とな
ります。

例えば、漱石『こころ』チュートリアルの対応分析をご覧下さい。このスライ
ドの21枚目です。(当該の1枚を画像としてこの投稿に添付しています)
http://www.slideshare.net/khcoder/kh-coder-28776074

この図の左上の方に「上_先生と私」という見出しがあり、「先生」という語
があります。ここから「上_先生と私」には「先生」という語が特徴的に(特
に多く)出現していたことが分かります。ただし、解釈のしかた、書き方とし
ては、「布置された場所が近いかどうか」ではなく「原点からの方向や距離」
に注目するのが正しいのです。

> ×「上」の近くに「先生」があるので、「先生」は「上」に特徴的
>
> ○原点から見て「上」の方向、それも原点から大きく離れた位置にあるので、
>  「先生」は「上」に特徴的

この「○」の解釈ならよいのですが、「×」の方は数学的には正しくないので
す。近いか遠いかを見るなら、「持つ」だって「先生」と同じくらい「上」に
近い(ように見える)わけですが、原点から離れている「先生」の方が、「上」
に特徴的なのです。

この「×」の解釈のような、言わば誤解を誘いかねないという理由で、「ふさ
わしくない」云々の議論があるものと私は考えています。

■ではどうするのか

1つは、「上」「中」「下」のような変数だけのプロットと、「先生」「持つ」
のような語だけのプロットの2枚に分けるという方法があります。※ただ、誤
解を避けるためだけにわざわざ余分にスペースをとるのかという気もします。

また、先の投稿(No.1923)で示した(1)〜(3)はすべて、変数にも語にも(行
スコアにも列スコアにも)同じ操作を加えるという点で、「対称的」なプロッ
トです。それに対して、別々の操作を加えるような非対称的なプロットを作る
ことで、この問題に対処するという考え方もあるようです。※これを行なうと、
語か変数のどちらかが原点付近に集まってしまい、読み取りにくくなります。

上記いずれの方法も完全な解決法とは言えませんし、結局は、これまでも多用
されてきた対称的なプロットで良いのではないかということです(少なくとも
デフォルトで利用するプロットとしては)(Greenacre 2007: 267,
http://amzn.to/1s0Fu3v )。ですから、上記の「×」ではなく「○」の解釈
をするようにさえ注意すれば、安心して対称的なプロットをお使いいただける
でしょう。

■おことわり

ずいぶん前ですが、統計数理研究所の名誉教授でいらっしゃる大隅昇先生に、
対応分析について教えていただいたことがあります。そのご恩を世の中に還元
せねばというような気持ちもあって、今回はお答えさせていただきました。

ただ今後、統計についてなんだって答えるか/答えられるかというと、そうも
いかないと思います。あらかじめご了承下さい。また、私の記述に誤りがあっ
たとすれば、それはすべて私一人の責任によるものです。


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